太陽光7kwを自宅に設置したときの発電量と電気代削減効果|年間いくら得するかをざっくりシミュレーション

太陽光7kWを自宅に設置したら、年間どれくらい発電して電気代はいくら下がるのかを、難しい数式を使わずに全体像から把握できるよう整理します。

地域ごとの日射量や屋根の向き、機器のロスなどで結果は変わりますが、現実的な前提を置けば「だいたいの発電量」と「電気代の下がり方」「売電収入の目安」は簡単に見積もれます。

この記事では、太陽光7kWの標準的な前提を使った年間シミュレーションと、条件が変わったときの幅(レンジ)を丁寧に示し、導入判断の第一歩をサポートします。

太陽光7kWを自宅に設置したときの発電量と電気代削減効果を全体像でつかむ

まずは、太陽光7kWの年間発電量の「だいたい」を現実的な範囲で押さえ、次に自家消費と売電の比率を変えたときの家計インパクトを直感的に理解します。

計算に必要なのは、地域の日射量の目安(kWh/kW・年)、システムの損失を表すパフォーマンスレシオ(PR)、そして家庭の電気料金と自家消費率の三つです。

数値は細かく見積もるほど精度は上がりますが、ここでは「検討初期に役立つ、外しにくい平均値とレンジ」を使って全体像を描きます。

年間発電量の目安を現実的に計算する

年間発電量は「設備容量(7kW)× 地域の年間日射量(kWh/kW・年)× PR(機器や温度・配線などのロス率)」で概算できます。

日本の住宅用の初期検討では、年間日射量を1,100〜1,300kWh/kW・年、PRを0.80〜0.90程度と置くと外しにくく、中央値を1,200と0.85にすると、7kWなら「7 × 1,200 × 0.85 = 7,140kWh/年」が目安になります。

南向き・傾斜角20〜30度・影少なめなら上振れ、東西分割や部分影があると下振れするため、7,000kWh前後を基準に±10〜15%の幅を見ておくと安全です。

月別では春・秋が伸び、梅雨や真夏の高温時はPRが下がる点も、体感と一致する傾向です。

自家消費と売電の組み合わせを整理する

同じ年間発電量でも、昼の使用が多い家庭ほど自家消費が増え、買電を置き換える効果(高単価の節約)が効きます。

一方で昼間外出が多い家庭は売電の比率が上がり、売電単価が家計インパクトを左右します。

自家消費率は生活パターン次第で20〜60%程度まで幅が出るため、三つのモデルケースを作って先に全体像を掴みましょう。

  • 日中在宅が少ない:自家消費25%・売電75%(共働き・不在多め)
  • 標準的:自家消費40%・売電60%(在宅と不在が半々)
  • 在宅多め:自家消費55%・売電45%(在宅勤務・家事で昼に使用)

蓄電池があると夜間にも自家消費を回せるため、上記に+10〜20%程度の自家消費率上振れを見込めますが、ここでは太陽光単独の素直な効果に絞って考えます。

年額の電気代削減と売電収入のざっくり表

以下は年間発電量7,140kWh、買電単価35円/kWh(燃調・再エネ賦課金込みの体感値)、売電単価16円/kWh(例)を置いた参考表です。

自家消費での削減額は「自家消費量 × 35円」で、売電収入は「売電量 × 16円」で計算しています。

モデル自家消費率自家消費量売電量電気代削減額売電収入合計効果/年
不在多め25%1,785kWh5,355kWh約62,500円約85,700円約148,200円
標準40%2,856kWh4,284kWh約99,960円約68,500円約168,400円
在宅多め55%3,927kWh3,213kWh約137,400円約51,400円約188,800円

買電単価が高いほど自家消費の価値は増し、売電単価が高いほど不在家庭でも効果が出やすくなります。

初期投資と回収の考え方を整える

初期投資(例:7kWで130〜170万円・屋根条件で上下)に対して、上表の年間効果が「どの程度の割合か」を見ると回収の肌感が掴めます。

例えば初期150万円・年間効果17万円なら、非常にラフに見て約8〜9年が単純回収の目安です。

ここから補助金や電気料金の上振れ、メンテ費用、パワコン交換費(10〜15年スパン)を引き算・足し算して、家計の方針に合うかを判断します。

過度に精密な試算より、前提の幅を持ったレンジ思考の方が意思決定では役立ちます。

条件が違うときのブレ幅を先に知る

地域・方位・影・屋根の温度条件でPRは大きく揺れます。

方位ズレ(南±45度)や東西分割でも、設計を整えれば致命的に悪化しない一方、隣家や樹木の影が長時間かかる場合は想定より10〜20%下振れすることもあります。

また、時間帯別料金やオール電化の有無で買電単価が変われば、自家消費価値も変動します。

「発電量の±15%」「買電単価の±5円」「自家消費率の±10%」を動かしても判断が変わらないか、感度を先にチェックしておくのがコツです。

前提条件を決めてシミュレーションする

ここからは、太陽光7kWの標準ケースをベースに、家計条件を三つ用意して年額の効果を具体的に試算します。

そのうえで、家庭の使用パターンに近いモデルを選び、最後に数値を自宅の電気料金明細で上書きすると、実用的な見通しになります。

表現はあくまで「ざっくり」で、検討初期の判断材料に特化しています。

標準ケースの設定を明文化する

標準ケースでは、年間発電量7,140kWh(1,200×0.85×7)、買電単価35円/kWh、売電単価16円/kWh、基本料金は削減効果に含めない、を基本とします。

家庭の年間消費は4,800〜6,500kWhの範囲でモデル化し、昼の使用割合を変えることで自家消費率をコントロールします。

蓄電池は未導入前提とし、エコキュートの深夜運転やタイマー活用は「在宅多め」でやや有利に働く想定です。

この前提を外さなければ、実態から大きく外れることはありません。

家計モデル別の効果を見比べる

三つの代表的な家計モデルを並べ、発電の使い道がどう家計に反映するかを数値で確認します。

ここでは自家消費率の違いだけを動かし、他の前提を固定して比較の見やすさを優先します。

モデル年間消費自家消費率自家消費量売電量削減額売電収入年合計
不在多め4,800kWh25%1,785kWh5,355kWh約62,500円約85,700円約148,200円
標準5,500kWh40%2,856kWh4,284kWh約99,960円約68,500円約168,400円
在宅多め6,500kWh55%3,927kWh3,213kWh約137,400円約51,400円約188,800円

昼の自家消費が増えるほど「高い買電の置換」が進むため、同じ発電量でも合計効果は伸びる構造です。

自分の家庭に当てはめるチェックポイント

上表のどれに近いかは、電気明細とライフスタイルを見れば概ね判断できます。

当てはめは難しくありません。下の簡易チェックを使って、自家消費率の目星を付けてから金額を読み替えてください。

  • 平日9〜17時に在宅:多め/半分/少なめ
  • オール電化:はい/いいえ(はいなら夜の単価が安く自家消費の価値はやや相対的に下がる)
  • 昼に動く家電(洗濯乾燥・食洗機・EV充電)の有無:多い/普通/少ない
  • 屋根方位:南中心/東西分割/北寄り
  • 影の有無:なし/少しあり/多い

三つ以上が左寄りなら「在宅多め」、真ん中が多ければ「標準」、右寄りなら「不在多め」が目安です。

月別の体感と節約テクニックを把握する

年間の数字が分かったら、次は月別の凸凹や家電の使い方でどれだけ実効削減が変わるかを見ます。

同じ発電量でも、使い方を少し整えるだけで自家消費率は数ポイント動き、家計インパクトが数千円〜1万円単位で変わることがあります。

月別の動きを知ると、期待値の置き方が現実的になり、導入後の満足度もぶれにくくなります。

月別の発電イメージと注意点

日本の住宅用では、春(3〜5月)と秋(9〜10月)が伸び、梅雨(6〜7月)と真夏(8月)は相対的に伸びにくいのが一般的です。

夏は日射が強くても高温でPRが下がり、冬は日照時間が短く角度も不利になります。

そのため、月別に均等ではなく、ピーク月は平均の1.2〜1.4倍、低迷月は0.6〜0.8倍程度の振れを前提に、家電の稼働タイミングを季節で調整する意識が有効です。

梅雨・台風期は落雷対策や遠隔監視の通知設定も見直しましょう。

自家消費率を底上げする生活の工夫

難しい設備追加をせずにできる工夫でも、自家消費率は数%上げられます。

以下のような「昼に回す」「太陽が強い時間に合わせる」運用は、手間が小さく効果が見えやすいのが特徴です。

  • 洗濯乾燥・食洗機・掃除機などを昼の発電ピーク時間(11〜15時)に寄せる
  • エコキュートの沸き上げを昼寄りに一部シフト(夜間安価プランは慎重に)
  • ノートPC・タブレット・掃除機の充電を日中に集約
  • 在宅勤務日は電子レンジや調理家電を分散ではなく集中稼働
  • 待機電力の見直しと、不要時のこまめなオフ

家族のスケジュールに一つ習慣を足すだけでも、年ベースで見れば数千円〜1万円規模の差になります。

月次の見える化で継続的に改善する

導入後は、発電・買電・売電の月次グラフを並べ、自家消費率の推移を見える化すると改善点が見つかります。

季節変動とイベント(旅行・在宅勤務増減・家電買替)をメモしておくと、翌年に同じ工夫を再現しやすくなります。

可能ならHEMSやモニターアプリのスクリーンショットを月末に保存し、年次比較を家族で共有すると、生活側の最適化が進みます。

見える化は「やる気を保つ装置」としても強力です。

費用・補助・回収の考え方を整理する

発電と家計効果のイメージができたら、初期費用や補助金、将来費用を含めた回収の読み方をシンプルに押さえましょう。

「単純回収年数」は便利ですが、それだけで判断せず、現金収支やリスクの幅も合わせて見るのが堅実です。

比較の順序を間違えなければ、相見積の読み解きも難しくありません。

初期費用と将来費の内訳を把握する

太陽光7kWの導入総額は、屋根形状・足場・配線距離・メーカー構成で130〜170万円程度に分布することが多く、ここに将来のパワコン交換(10〜15年で15〜30万円のレンジ)を見込みます。

見積では、本体・工事・諸費用を行ごとに分け、対象外費用(撤去・屋根補修など)も分離表示して、補助金算定や保証の整合を取りましょう。

費目の透明性は、導入後の満足度にも直結します。

費目記載例判断ポイント
モジュール型式・枚数・色出力・外観・保証年数
パワコン型式・台数交換費の将来見込み
工事足場・配線・分電盤追加条件と上限
諸費用申請代行・運搬対象/対象外の線引き

この内訳を他社と同粒度で並べると、価格差の理由が見えやすくなります。

補助金の扱いと順序の注意点

自治体の補助は年度ごとに要件や上限が変わり、申請順序(事前申請→交付決定→着工)が厳格なケースもあります。

補助は「総額が下がる=回収短縮」ですが、制度の締切や対象経費の線引きを誤ると不採択になるため、見積段階で費目名を要綱の用語に寄せ、契約・着工日も要件に合わせて工程表を作るのが安全です。

売電単価や電気料金の将来見通しは不確実なので、補助は「あるなら嬉しい」くらいの保守的姿勢で計画しましょう。

回収の指標を複数で見る

単純回収年数は分かりやすい反面、将来費や電気料金の変化を織り込めません。

現金収支(削減+売電−維持費)を年次で見て、投下資金に対する利回り感(年効果÷総額)も併記すると、他の投資や住宅支出と比較しやすくなります。

保守的ケースと標準ケースの二本立てで意思決定すれば、期待値のブレにも耐えやすい計画が作れます。

前提を変えたときの感度分析で納得感を高める

最後に、主要な前提を1つずつ動かしたときに、家計効果がどの程度変わるかを確認します。

「思っていたより効いた/効かなかった」の多くは、ここで事前に想像できる範囲に収まります。

感度分析は、導入後の満足度を高めるための最小コストの保険です。

買電単価・売電単価が変わるとどうなるか

買電単価が5円上がると、自家消費1,000kWhあたりの削減は年5,000円増えます。自家消費3,000kWhの家庭なら年1.5万円の差です。

売電単価が2円下がると、売電3,000kWhで年6,000円の減収となります。

どちらが効くかは自家消費と売電のバランス次第で、在宅多め家庭ほど買電単価の変動に敏感、不在家庭ほど売電単価に敏感です。

電力プランの見直しも合わせて検討すると、効果の下振れを抑えられます。

発電量が上下した場合のレンジ確認

発電量が±10%動くと、7,140kWhの基準は6,426〜7,854kWhになります。

自家消費率40%なら、自家消費は2,570〜3,142kWh、売電は3,856〜4,712kWhへと連動し、年効果の合計はおおむね±1.5〜2万円幅で動きます(前提:買電35円・売電16円)。

この幅を許容できるかが、導入判断の心理的な納得感を左右します。

影と方位の評価を現地写真で先出しできれば、下振れリスクは減らせます。

蓄電池を追加したらどう変わるかの目安

蓄電池を同時または後付けで導入すると、自家消費率は+10〜20%上振れすることが多く、夜間の買電を置換できるため削減額は増えます。

一方で初期費用が大きく、効果は電気料金・充放電効率・容量運用に依存します。

太陽光単独の効果を固めたうえで、停電安心やピークカットの価値を足し算する順番が、後悔の少ない検討手順です。

まずは太陽光だけの実力を把握し、その上で蓄電池の役割を明確化しましょう。

太陽光7kWの家計インパクトを一気に把握する

太陽光7kWの年間発電は現実的に約7,140kWh前後(条件により±15%)で、自家消費と売電の配分に応じて年15〜19万円程度の家計効果が見込めます(例:買電35円・売電16円)。

在宅が多い家庭ほど自家消費価値が伸び、不在が多い家庭は売電単価の影響が相対的に大きくなります。

まずは自宅の電気明細で前提を上書きし、標準ケースと保守的ケースの二本でレンジを確認すれば、導入判断の納得感はぐっと高まります。