「グラン・スマート」と「アイスマート」は、一条工務店の中核ゾーンを担う近い兄弟モデルです。
どちらも高断熱・高気密とトリプルサッシを前提にしながら、デザイン言語や標準装備の置き方が異なり、間取り計画や総額の作り方に実務上の差が生まれます。
本記事では、基本思想から価格・性能・デザイン・装備の差分を整理し、最後に「あなたはどっち向きか」を判断できるチェックポイントを提示します。
一条工務店「グラン・スマート」と「アイスマート」の決定的な違いとは?
まずは両者のキャラクターを言語化し、迷子になりやすい“似ているのに違う”ポイントを掴みます。
外観のムードや内装の世界観、標準で選べる設備の厚みが体験価値に直結するため、設計初期に方向を定めることが後戻り防止の近道です。
以下、思想→仕様表→ラインナップにおける立ち位置の順に俯瞰します。
基本コンセプトの比較:木目調の「優雅さ」か、直線の「機能美」か
グラン・スマートは木目や深い色調を活かした“優雅さ”が軸で、意匠と素材感の一体演出がしやすい設計思想です。
対してアイスマートは、水平・垂直を強調した“機能美”の世界観が基本で、シャープな外観と納まりの良さで空間を軽やかに見せます。
両者とも性能は同系統ですが、「標準でどこまで雰囲気づくりが完結するか」の差が、追加オプションの必要度=総額に波及します。
- グラン:木目・トーンの深み・重厚感を軸に“ホテルライク”へ。
- アイ:白・直線・ミニマルで“機能美と清潔感”を前面に。
- インテリアの主役が「素材(グラン)」か「線と面(アイ)」か。
- 標準装備の厚みが“追加費の出方”を左右。
- 同面積でも見え方と満足の作り方が変わる。
ひと目でわかる!主要スペック・標準仕様の比較一覧表
細部はロットや時期で差異がありますが、設計判断に効く代表的な比較軸を表にまとめます。
「標準でもらえる世界観」が自分の好みと一致していれば、追加コストを抑えながら満足を作りやすくなります。
逆に、外装・造作・設備を上積みしないと好みに届かない場合は、もう一方のモデルを検討する価値が高まります。
| 項目 | グラン・スマート | アイスマート |
|---|---|---|
| 外観テイスト | 重厚・木目強調・タイル映え | 直線基調・ミニマル・フラット見付 |
| 内装世界観 | ウォームトーン・素材感重視 | クールトーン・白×グレー基調 |
| 標準設備の厚み | “グレイス”系の選択肢が豊富 | ベーシック+拡張で作り込む |
| 窓・断熱 | トリプル樹脂+高断熱は共通 | 同左(仕様の取り回しで差) |
| 換気・加湿 | うるケアの展開が強い | 構成は要選択・要計画 |
どっちが上位モデル?一条工務店における商品ラインナップの位置付け
“上下”というより“志向の違い”と捉えるのが正確です。
グランは意匠的な完成度が標準で高く、家具・照明の選び方次第で一気にラグジュアリーへ振りやすい一方、初期コスト帯は上寄りになりがちです。
アイはミニマルで幅広い応用が効き、余白を残して後から加点する設計が得意で、同面積なら総額を抑えやすい傾向があります。
【価格・坪単価】グラン・スマートとアイスマートのコスト差を検証
価格は面積・外装・窓・吹き抜け・造作・電気設備で大きく動きます。
“坪単価の差”はあくまで起点で、標準に近い構成か、上位仕様を積むかで逆転も起こりえます。
ここではレンジ感→逆転パターン→資産価値の観点で導線を整理します。
坪単価の目安:最新の価格相場と建築総額の差
時期・地域でブレますが、同条件比較ではグランが一段高め、アイが中庸という構図が一般的です。
ただし外装タイルの面積や大型サッシ、造作収納などを積むと、アイでも総額が近づく(あるいは追い越す)ケースがあります。
早い段階で“やりたいことリスト”を可視化し、両モデルで概算して差額の“正体”を見極めましょう。
| 延床 | グラン概算傾向 | アイ概算傾向 |
|---|---|---|
| 30坪級 | 総額は上寄りだが標準で映える | 総額抑制が容易・加点で調整 |
| 35坪級 | 差は中程度・外装で乖離 | 外装/窓次第で接近 |
| 40坪級 | 意匠の伸びしろが映る | 上位オプションで逆転余地 |
アイスマートにオプションを足すとグラン・スマートより高くなる逆転現象
“シンプルに始めて豪華に着地”は魅力的ですが、個別の加点は積み上がると割高になりやすいのが現実です。
アイにタイル外装・上位キッチン・造作多数・大型サッシを重ねると、グラン標準相当を超えて逆転する典型例が見られます。
逆転しやすい地雷を避けるため、先に「どちらが素のままで好みに近いか」を見極めてから、必要最低限の加点に絞るのが賢い進め方です。
- 外装タイルの面積増は総額インパクト大。
- 造作は“後付け可能か”で優先順位を決める。
- 大型サッシは構造・シャッター・日射対策まで波及。
- キッチン上位化は周辺収納の連鎖コストに注意。
- 「標準で叶う世界観」に近い方を選ぶと逆転を回避。
資産価値に差は出るか?将来の売却価格を見据えたコストパフォーマンス
中古で効きやすいのは「外皮性能の高さ」「築後の見え方」「メンテ履歴」の三点です。
モデル名よりも、窓・断熱・換気・日射制御・内装の保存状態が評価に直結します。
グランは意匠の完成度で内見時の印象が強く、アイは普遍的デザインで買い手層が広い傾向があり、どちらも“標準の良さを保つ運用”が価値維持の鍵です。
【住宅性能】断熱・換気システム・工法の細かな違い
性能面は兄弟関係にありますが、断熱の取り回しや換気・加湿の標準採用、オプションの置き方で“使い勝手の差”が出ます。
図面での熱橋対策や方位別ガラス選定、換気の風量バランスまで含めて“体感”に落とし込むと、机上の数値以上の差が現れます。
以下、構法→換気→次世代対応の順で見ていきます。
外内ダブル断熱構法と2×6工法の違いをわかりやすく解説
いずれも高断熱・高気密を狙う枠組みですが、断熱の入れ方や気密ラインの連続性、施工ディテールで差異が生じます。
重要なのは“窓周りと取り合い”で、ここが甘いとカタログ値は体感へ届きません。
設計・施工段階で、線熱貫流の抑制と防露設計を徹底するほど、足元・窓際の不満が減ります。
- 断熱は厚さだけでなく連続性(気密ライン)が肝。
- 窓のスペーサー・下枠納まりが体感を左右。
- 屋根・基礎の熱橋対策を図面で明文化。
- 気密測定(C値)の実測で仕上がり確認。
- 方位別ガラス選定で日射取得と遮蔽を最適化。
換気システム「うるケア」の標準採用がもたらす冬の快適性の差
全館加湿一体の換気は、冬の乾燥ストレスを下げ、朝の喉・肌の体感を安定させます。
暖房の設定温度を無理に上げずとも快適を確保できるため、運用費の面でも効く場面があります。
ただし、水管理・消耗部品の交換・メンテ導線の確保は事前設計が必須です。
| 観点 | うるケアあり | うるケアなし |
|---|---|---|
| 冬の体感 | 潤いで低温でも快適 | 加湿器依存が増える |
| 運用 | 一体管理・配管計画が重要 | 各室加湿で手間分散 |
| メンテ | 定期清掃・交換部品の確保 | 家電入替で柔軟 |
断熱等級7への対応状況と次世代省エネ性能の比較
上位等級対応は「窓・断熱・熱橋・気密・計画換気」の総合力です。
モデル名よりも“採用した具体仕様”が結果を決めるため、両モデルで同じ仕様を組めば体感差は縮まります。
逆に、好みの外観や窓サイズに引っ張られて断熱ラインが崩れると、数値は出ても体感が伸びない落とし穴に注意しましょう。
- 性能は“モデル差”より“採用仕様差”。
- 窓サイズと日射制御が等級運用の要。
- 熱橋・気密はディテール図で担保。
- 換気風量の実測調整で快適度が変わる。
- 等級はTCO(光熱・健康・資産)で評価。
【外観・内装・設備】デザイン性と暮らしの質に直結するポイント
“毎日目に入るもの”は満足度の源泉です。
標準でどこまで世界観が整うか、造作・家電・外構まで含めたトータル設計で差が開きます。
キッチン・洗面・収納・外装タイル・床材・サッシ色の合わせ込みは、早い段階で方向を決めましょう。
グレイスシリーズ(キッチン・洗面・収納)が標準で選べるメリット
統一デザインの水回り・収納は、色・素材・ハンドル・面材の“揺らぎ”を抑え、全体の完成度を底上げします。
バラバラに上位化していくより、同一レーベルで揃える方がコスパよく高級感を作れます。
動線や家事負担の軽減につながる細部(引き出し内寸・耐水・メンテ性)も事前に見ておきましょう。
| 部位 | メリット | 確認ポイント |
|---|---|---|
| キッチン | 統一意匠・高耐久天板 | 家電配置・配線/換気 |
| 洗面 | 収納一体・清掃性 | 水ハネ・照明演出 |
| 収納 | 面材統一・納まり良好 | 可動棚・耐荷重 |
外観の重厚感を左右する「グレイスタイル(大型タイル)」の視覚効果
大判タイルは目地が減り、外観に“面の力”を与えます。
とくに濃色は陰影が深く、軒天やサッシ色と合わせると重厚感が一気に増します。
一方でコスト・重量・割付制約があるため、面積のメリハリ設計が重要です。
- 角の納まりと割付で“高級感”が決まる。
- 濃色×木目軒天でホテルライクに。
- 開口部は方立見付を細く見せる工夫を。
- 面積は“見える面”に集中投下。
- 外構の色合わせで完成度が跳ね上がる。
床材「モクリア」や「木目調軒天」などインテリアの質感の差
床は“家のスクリーン”です。
モクリアの均質さ・耐水と、挽き板系の陰影・足触りは好みが分かれるポイントで、壁色・建具とあわせてショールームで大判比較を推奨します。
木目調軒天は内外の連続感を演出し、リビングの奥行きを視覚的に伸ばす効果があります。
サッシの色やドアのデザインなど、細部に宿る「グラン」のこだわり
同じ間取りでもサッシ色・框デザイン・ハンドル形状の選択で“高見え”が実現します。
視線の集中点(玄関・テレビ背面・ダイニング)に絞って質感を上げると、費用対効果が高くなります。
後から変えにくい部位を優先し、可変要素(照明・ラグ)は入居後に育てる方針が合理的です。
- サッシは外観色とのコントラスト設計。
- 玄関ドアは金物まで一体で選ぶ。
- 巾木・窓台・カーテンボックスの色ズレ回避。
- 視線が止まる壁は素材で差別化。
- 後付け可能な装飾は入居後に最適化。
【結論】あなたにはどっちがおすすめ?後悔しないための判断基準
“好き”と“お金”と“運用力”の三角形を整えるのが最短ルートです。
標準で好みに近い方を選ぶと、オプションの暴走を抑えられます。
最後に、向き不向きと、展示場での確認ポイントをまとめます。
グラン・スマートを選んで満足する人の特徴(高級感・最新設備重視派)
標準の世界観が自分の“好き”に近い人ほど、追加費を抑えながら高級感を得られます。
水回りや収納をレーベルで揃えたい、外観をタイルでしっかり見せたい、という志向と相性が良好です。
家具・照明の選定が楽しく、入居直後から“整った”空気感を作りやすいのも魅力です。
- ホテルライク・重厚感を標準で叶えたい。
- 統一デザインの水回り・収納を重視。
- 外観に面の力と陰影を求める。
- 後付けより“完成度の高い一発仕上げ”。
- 初期費を許容し、運用は楽にしたい。
アイスマートを選んで賢く建てる人の特徴(合理的・シンプル派)
面積・外装・窓を整える設計で“必要十分”を狙い、予算配分を柔軟にしたい人に向きます。
後から加点していく育て方が得意で、家電・家具・外構の段階投資と相性が良いスタイルです。
普遍的デザインで流行の影響が少なく、将来の模様替えの自由度が高いのも利点です。
- ミニマル・直線・白基調が好み。
- 面積と窓整理で費用対効果を最適化。
- 入居後に少しずつ“育てる”前提。
- 外構・家電に投資を回したい。
- 売却時の普遍性も重視する。
展示場で営業担当者に必ず聞くべき「隠れた差分」の確認方法
同じ“◯◯が標準”でも、中身の品番や仕様範囲が違うことがあります。
見積ブレを防ぐには、差分が総額と運用に与える影響を具体化し、書面化しておくのが鉄則です。
以下の質問テンプレを活用し、後から“想定外”をゼロにしましょう。
| テーマ | 質問例 | 合意の取り方 |
|---|---|---|
| 標準の範囲 | 品番・色数・サイズの上限は? | 型番と図面に明記 |
| 価格差 | 同条件での総額差はいくら? | 両モデルで同一前提で見積 |
| 将来費 | 交換・メンテ部材の費用感は? | 部品供給と工賃を記録 |
| 性能運用 | 換気・加湿の運用手間は? | 掃除頻度・交換周期を明記 |
