一条工務店での家づくりにおいて、部屋の印象を大きく左右する「クロス(壁紙)」選び。
標準仕様のオリジナルクロスだけでも種類は豊富ですが、「サンゲツなどのメーカークロスはオプションで選べる?」「アクセントクロスの追加費用はいくら?」と疑問を抱える方も多いでしょう。
本記事では、一条工務店のクロスの標準とオプションの違いや、気になる費用相場、独自のルールを徹底解説します。
さらに、一条工務店特有の「クロスのひび割れ・隙間」の原因と対処法まで網羅しているため、後悔しないクロス選びの参考にしてください。
一条工務店のクロス(壁紙)の基本と「標準・オプション」の違い
一条工務店で家を建てる際、内装の要となるのがクロス選びです。
一条工務店では、大きく分けて追加費用がかからない「標準仕様」のクロスと、別途費用が発生する「オプション仕様」のクロスが用意されています。
まずは、それぞれの特徴と選べる種類について詳しく見ていきましょう。
標準仕様(一条オリジナルクロス・IC品番)の特徴と種類
標準仕様として選べるのは、一条工務店が独自に用意しているオリジナルクロスです。
型番が「IC」から始まるため、施主の間ではICクロスやIC品番と呼ばれています。
この標準クロスは、無地のシンプルなものから、織物調、石目調、木目調、さらにはレンガ調や少し柄の入ったものまで、家全体を十分にコーディネートできるだけの幅広いバリエーションが揃っています。
分厚く丈夫なものが多く、下地の凹凸を拾いにくいというメリットもあります。
標準クロスの中からどれを選んでも追加費用は一切かからないため、基本的にはこのIC品番を中心に家全体の壁紙を決めていくことになります。
オプション仕様(サンゲツ・リリカラ等のメーカークロス)
標準クロスだけでは好みのデザインが見つからない場合や、より個性を出したい部屋には、オプションで国内の主要な壁紙メーカーのクロスを採用することができます。
一条工務店でよく採用される代表的なメーカーは、サンゲツ、リリカラ、シンコール、トキワなどです。
これらのメーカーが発行している分厚いカタログの中から、数千種類にも及ぶ膨大なデザインや機能性を持ったクロスを自由に選ぶことが可能です。
キャラクター柄や鮮やかな色彩、特殊な質感のクロスなどは標準にはないため、アクセントとして一部屋の壁一面だけに採用する施主が非常に多くなっています。
| 項目 | 標準仕様(IC品番) | オプション仕様(メーカークロス) |
| 追加費用 | かからない(無料) | かかる(平米単価+施工ロス費用) |
| 種類の多さ | 約100種類程度 | 数千種類(メーカーによる) |
| デザイン性 | シンプルで使いやすいものが多い | 個性的でデザイン性が非常に高い |
| クロスの厚み | 比較的厚手で下地が目立ちにくい | デザイン重視で薄いものも多い |
| 主な用途 | 家全体のベースクロス | アクセントクロスとして部分使い |
【重要】一条工務店のクロス選びに関する独自ルール
数多くのクロスから自由に選べるように思えますが、一条工務店の設計ルールにはクロスに関する独特な制限がいくつか存在します。
このルールを知らずに打ち合わせを進めると、後になって「その組み合わせはできません」と言われて計画が狂ってしまうことがあります。
設計士との打ち合わせをスムーズに進めるためにも、一条工務店ならではの基本的なルールを把握しておきましょう。
1部屋あたりに選べるクロスの種類(色数)の制限
一条工務店では、1つの部屋(空間)に採用できるクロスの種類に上限が設けられています。
基本ルールとして、1部屋につき選べるクロスは「ベースクロス1種類」と「アクセントクロス1種類」の合計2種類までとなっています。
つまり、四方の壁をすべて違う色にしたり、3種類の柄を組み合わせたりすることは原則としてできません。
ただし、これはあくまで「壁」に対するルールであり、天井クロスはこれとは別に1種類選ぶことができます。
また、LDKのようにリビング、ダイニング、キッチンがひと続きになっている大空間の場合、空間の区切り方によってはアクセントクロスを2箇所(2種類)採用できるケースもあります。
このあたりの細かい判定は設計士によっても判断が分かれることがあるため、複数のアクセントを入れたい場合は早めに相談することが大切です。
天井クロスに関するルールと選び方の注意点
天井のクロスについても、一条工務店特有のルールと注意すべきポイントがあります。
まず、天井にアクセントクロスを採用する場合、基本的には天井の「全面」をそのクロスにする必要があります。
一部だけを折り下げ天井のようにして別のクロスを貼ることは、標準の仕様では対応できず、特別なオプション施工(下がり天井など)の費用が別途必要になります。
また、天井に暗い色や柄の強いクロスを選ぶと、部屋全体が圧迫感を感じやすくなるため注意が必要です。
一条工務店の標準仕様である天井高(2400mm)を考慮すると、壁のベースクロスよりもワントーン明るい色、あるいはまったく同じ白いクロスを選ぶのが、空間を広く見せるための基本セオリーとされています。
一条工務店でオプションクロスを採用した場合の費用相場と計算方法
サンゲツなどのメーカークロスをオプションで採用する場合、一体いくらかかるのかは最も気になるポイントです。
一条工務店のオプションクロスの費用計算は、単に「貼った面積」だけでなく、材料の無駄(ロス)も施主が負担するという独特のシステムになっています。
ここでは、具体的な単価の目安と、思わぬ高額請求の原因となる施工ロスの仕組みについて解説します。
クロスオプションの平米単価の目安
オプションクロスの基本的な計算は、メーカーが設定しているクロスのグレード(定価)に基づく平米単価で算出されます。
一般的なメーカークロスの平米単価の目安は以下の通りです。
| クロスのグレード | 1平米あたりの単価目安(オプション費用) | 特徴 |
| 量産品(AA級など) | 約500円〜800円 | 比較的安価でシンプルなデザインが多い |
| 一般品(1000番台など) | 約1,000円〜1,500円 | デザイン豊富で機能性クロスも多い |
| 高級品・特殊クロス | 約2,000円以上 | リアルな素材感や特殊加工が施されている |
例えば、1平米あたり1,000円のオプションクロスを、幅3メートル、高さ2.4メートルの壁一面(7.2平米)に貼る場合、純粋な施工費用の目安は約7,200円となります。
しかし、実際の見積もりにはこれに加えて後述する施工ロス費用が上乗せされるため、少し多めに見積もっておく必要があります。
意外な落とし穴!「施工ロス費用」による追加料金とは
一条工務店でオプションクロスを選ぶ際、最も注意しなければならないのが「施工ロス費用」の存在です。
壁紙は通常、幅約90cmのロール状で納品されます。
壁の寸法に合わせてクロスを切り出す際、柄合わせのために余分にカットしたり、半端な長さが余ったりすることが必ず発生します。
一条工務店では、この「実際に壁に貼られなかった余りのクロス(ロス分)」の材料費も、オプション費用として施主に請求されるルールになっています。
特に、大きな柄が入っていて柄合わせが難しいクロスや、窓が大きくて実際にクロスを貼る面積が少ない壁にオプションクロスを採用した場合、実際に貼る面積よりもロス分の方が多くなり、想定外に高い見積もりが出て驚くことがあります。
柄物のクロスを選ぶ際は、施工ロスが多く発生しやすいことを念頭に置いておきましょう。
標準クロスをアクセントに使って費用を節約する裏技
オプション費用や施工ロス費用を抑えつつ、部屋の雰囲気を変えたい場合におすすめなのが「標準クロス(IC品番)をアクセントクロスとして使う」という裏技です。
先ほど説明した通り、一条工務店の標準クロスは1部屋につき2種類まで無料で選ぶことができます。
ベースとなる壁3面を無地の白いICクロスにし、残り1面を色付きやレンガ調などのICクロスにするだけで、立派なアクセントウォールが完成します。
ICクロス同士の組み合わせであれば、どれだけ柄合わせのロスが発生しても追加費用は一切かかりません。
トイレの1面だけを濃いブルーの標準クロスにしたり、寝室の枕元の壁だけを落ち着いたグレーの標準クロスにしたりと、工夫次第でオプション料金ゼロでおしゃれな空間を作ることができます。
後悔しない!一条工務店のクロス選びで失敗を避けるコツ
数え切れないほどの種類があるクロス選びは、家づくりの中でも特に悩みやすく、そして完成後に「イメージと違った」と後悔しやすいポイントでもあります。
カタログで見る小さな見本と、実際に壁一面に貼られた状態とでは、色の見え方や質感が大きく異なるからです。
ここでは、一条工務店の家においてクロス選びで失敗しないための具体的なコツを3つ紹介します。
下地や継ぎ目が目立ちやすい「薄いクロス」は避ける
オプションでメーカークロスを選ぶ際、デザインだけを重視して「極端に薄いクロス」を選ぶのは非常に危険です。
一条工務店の壁は石膏ボードを張り合わせて作られており、クロスを貼る前にパテで平らにする下地処理が行われます。
しかし、どれだけ丁寧に下地処理を行っても、薄いクロスを貼ると石膏ボードの継ぎ目やわずかなパテの凹凸が表面に浮き出て見えてしまうことがあります。
特に、窓からの自然光やダウンライトの光が壁を横から照らすような間取り(コーブ照明やスポットライトなど)の場合、この凹凸の影がくっきりと浮かび上がり、非常に見栄えが悪くなります。
カタログに「下地が目立ちやすい」といった注意書きがある薄いクロスや、ツルツルとした光沢のあるクロスは避け、少し厚みがあり表面に凹凸加工(エンボス加工)が施されているクロスを選ぶと失敗が少なくなります。
トイレ・洗面所などの水回りは「機能性クロス」を選ぶ
トイレや洗面所、キッチンの周辺など、汚れや湿気が発生しやすい水回りの部屋には、デザインだけでなく「機能性」を持ったクロスを選ぶことが重要です。
メーカークロスのカタログには、それぞれのクロスが持つ特殊な機能がアイコンで分かりやすく表示されています。
| 機能性の種類 | 特徴とおすすめの場所 |
| 表面強化 | 傷がつきにくく丈夫。ペットがいる家や玄関、廊下におすすめ |
| 汚れ防止・消臭 | 表面にフィルム加工があり拭き掃除が簡単。トイレやキッチン周りに最適 |
| 撥水・防カビ | 水を弾きカビの発生を抑える。洗面所や脱衣所に必須の機能 |
| 吸放湿 | 室内の湿度をコントロールする。ウォークインクローゼットや寝室に有効 |
一条工務店の標準クロスの中にも機能性を持ったものはありますが、より強力な汚れ防止機能や消臭機能を求める場合は、水回りだけでもオプションの機能性クロスを採用する価値は十分にあります。
特にトイレの壁は飛び散り汚れが付きやすいため、水拭きできる表面フィルム加工が施されたクロスを強くおすすめします。
小さなカタログサンプルだけで判断せず「A4サイズ」を取り寄せる
クロス選びでの最大の失敗原因は、分厚いカタログに貼り付けられている数センチ四方の小さなサンプルだけで色や柄を決めてしまうことです。
視覚の錯覚により、明るい色は小さな面積で見るよりも大きな面積(壁全体)で見た方がより明るく、暗い色はより暗く見えます。
また、小さな柄は壁全体に貼るとうるさく感じたり、逆に柄が目立たなくなったりすることがあります。
この失敗を防ぐためには、気になるクロスの品番を設計士や営業担当者に伝え、メーカーから「A4サイズ」の大きなサンプルを取り寄せてもらうことが絶対に必要です。
A4サイズのサンプルが届いたら、実際に家が建つ予定の土地で太陽光の下で見てみたり、現在住んでいる家の壁にマスキングテープで貼り付けて、朝・昼・夜の光の当たり方による見え方の違いを確認したりしてください。
一条工務店特有の悩み?クロスの「ひび割れ・隙間」の原因と対策
一条工務店の家についてインターネットで調べると、「新築なのにクロスの継ぎ目に隙間ができた」「部屋の角のクロスがひび割れてきた」といった口コミを目にすることがあります。
せっかく悩んで選んだクロスが割れてしまうとショックですが、実はこれは一条工務店の家の構造上、ある程度は避けられない現象でもあります。
ひび割れが起きるメカニズムと、その後の対処法について正しく理解しておきましょう。
全館床暖房による極度の乾燥と木材の収縮が主な原因
クロスのひび割れや隙間が発生する最大の原因は、一条工務店の代名詞でもある「全館床暖房」による冬場の極度な乾燥と、それに伴う木材の収縮です。
一条工務店の家は気密性が非常に高いため、冬場に全館床暖房を稼働させると、室内の湿度が急激に低下し、何もしなければ湿度が20%台にまで落ち込むことがあります。
この極度の乾燥状態になると、家の構造に使われている木材(柱や梁など)が水分を失ってわずかに収縮したり反ったりします。
木材が動くと、その上に張られている石膏ボードも引っ張られ、結果として表面に貼られているクロスの継ぎ目や、部屋の隅の入り隅(凹んだ角)の部分に引っ張る力が加わり、クロスが割れたり隙間が開いたりしてしまうのです。
これは欠陥住宅だから起きるわけではなく、木造住宅と全館床暖房の組み合わせにおいて、特に最初の1〜2年の木材が乾燥しきるまでの間に発生しやすい自然な現象と言えます。
引き渡し後(2年目訪問)の無償補修と自分でできるコーキング補修
クロスの隙間やひび割れが発生しても、焦る必要はありません。
一条工務店では、引き渡しから2年経過したタイミングで行われる「2年目点検(2年目訪問)」の際に、このクロスの隙間やひび割れを無償で補修してくれるアフターサービスが用意されています。
2年経てば木材の収縮も落ち着き、家の構造が安定してくるため、このタイミングで一度に補修してもらうのが最も効率的です。
点検担当者が「ジョイントコーク」と呼ばれるクロス専用の充填剤(コーキング材)を使って、開いてしまった隙間を丁寧に埋めていくと、ひび割れはほとんど目立たなくなります。
また、2年目以降にちょっとした隙間が気になった場合は、ホームセンターやネット通販で数百円で売られているジョイントコーク(壁紙の色に合わせたもの)を購入すれば、自分でも簡単に補修することができます。
隙間にコーキング材を細く注入し、水で濡らした指やスポンジでサッと撫でてはみ出た部分を拭き取るだけで、誰でも綺麗に隙間を隠すことが可能です。
一条工務店のクロス選びに関するよくある質問(FAQ)
最後に、一条工務店でクロスを選ぶ際によく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。
標準クロスだけでもおしゃれな部屋は作れますか?
はい、標準クロスだけでも十分に洗練されたおしゃれな部屋を作ることは可能です。
一条工務店の標準クロス(IC品番)は定期的にラインナップが見直されており、最近のトレンドを取り入れたくすみカラーや、リアルな石目調、木目調のクロスが豊富に揃っています。
ベースをシンプルな白にしつつ、テレビボードの背面やトイレの壁1面にアクセントとして濃い色の標準クロスを採用するだけでも、空間に立体感が生まれて見栄えが劇的に良くなります。
あえてオプションクロスを使わず、その分の予算を照明器具(ダウンライトや間接照明)やエコカラットなどのタイル装飾に回すというのも、家全体のクオリティを上げるための賢い選択肢の一つです。
施主支給でクロスを持ち込むことは可能ですか?
原則として、クロスを施主支給(自分たちで購入して現場に持ち込むこと)して一条工務店の大工さんに貼ってもらうことはできません。
一条工務店は品質管理や保証の観点から、自社で発注した材料以外の施工を厳しく制限しているためです。
もしどうしても一条工務店が提携していない海外製の輸入壁紙などを貼りたい場合は、引き渡しが完了した後に、ご自身で別の内装業者を手配してリフォームという形でクロスを貼り替える必要があります。
ただし、引き渡し後に手を入れた部分については、一条工務店の保証対象外となってしまうため、慎重に判断してください。
基本的には、サンゲツやリリカラなどの国内主要メーカーの膨大なカタログの中から、希望に近いデザインのものをオプションとして採用するのが最も現実的で安全な方法です。

